明日から11月。

「パスをつなぐだけで、引いた相手の守りを崩せない。数少ないチャンスに決めきれない。相手がプレスをかけてくると、途端にバタバタする。」

 

ネットでサッカー関連の記事を見ていたら、こんな文章を目にした。

4大会連続で世界大会への出場権を逃したU-19日本代表に対するセルジオ越後氏のコメントである。

 

そんなにパスは上手くつなげないけれど、そのあとのくだりはまるでうちのチームが抱えている課題じゃないかと思うぐらい、タイムリーなコラムに考えさせられた。

 

元々うちのチームは技術のある子が少なく、昔から試合で勝つために前からしっかりとプレスをかけ、こぼれ球を拾ったエースが持ち込んで決める。相手にボールを持たれても体を張って守りきる。長いことそういうスタイルで戦ってきた。

 

しかし、3年前からリノスと交流を持つようになり、西村さんの作るチームを目の当たりにして、小学生でもこんなチームが作れるんだ、こんなに流動的にパスをつなぐチームができるんだということを思い知らされ、それから徐々にパスをつなぐスタイルへと方向転換を進めてきた。

特に、例年になく技術のある子が揃っていた去年のチームは、個の力に戦術をプラスしたらどうなるのか確かめてみたくて、個人技に頼らないチーム作りに取り組んできた。そしてそれがハマった。

 

そのイメージのまま指導を続けてきた結果、今年のチームは1対1の競り合いで勝てない、フリーのシュートを決めきれない、プレスをかけられたらボールを前に運べない、そんなチームになろうとしている。

 

それなら、昔みたいに当たりの強さを含めた個々のレベルアップを中心としたトレーニングをして行けばいいのだろうけれど、どうしても試合が近づくとフォーメーション練習の時間が増えてきて、結果的に個も強くない、戦術的にも意志が徹底されていない、中途半端なチームしか作ることができずにいる。そして試合の後にはいつもコーチ達と「どこから手をつけたらいいのか」という反省の繰り返し。

 

個の力と戦術理解。どちらか一方が大事という答えはないと思うし、強いて言えば両者のバランスが取れている指導が理想的だとは思う。

でも、サッカーのエリートが集まる年代別の代表チームでさえ「個の強さが足りない」と言われるのであれば、小学生の指導に必要なものの答えはおのずと見えてくる気がする。

 

昔から、「院内さんは気持ちの強い子が多いですね」と言われることが多かったが、最近ではそのお世辞も言われなくなった。

クラブの歴史を塗り替えてきた去年のチームでさえ、ここ一番というところでは個の力でゴールを死守し、個の力でゴールを奪い取っていた気がする。

 

「練習時間が足りないから」「選手が少ないから」と言い訳をせず、目先の結果を求め過ぎず、長い目で指導に取り組んでいかなければと改めて思う。

 

明日から11月。うちのチームにとって勝負の月を迎える節目の日に、そんな思いを強くさせてくれるであろう相手と巡り合える幸運。

 

甲斐監督、明日はよろしくお願いします。