ボールがつなぐ縁

色々と書きたいことがあるけど、まずはこの話題から。

 

既報のとおり、先日、バサジィ大分の伊藤雅範監督がうちのチームの練習に訪れてくださった。

 

時間の関係で、練習をじっくり見てもらうことはできなかったけど、噂を聞いて集まった卒業生達とのミニゲームを見てもらい、子供達に直接熱いお言葉をかけていただき、その上、16日のバサジィのホームゲームに選手全員をご招待していただいた。

 

どうやら今回の訪問は、バサジィが行っている学校訪問とは別の、伊藤監督個人の行動だったようである。サッカー・フットサルに関わらず、地域密着を掲げるクラブは数多くあるが、監督自ら思い立ち、実際にその地域に足を運び、チケットまでプレゼントしていただいたという話はあまり聞いたことがない。実際にお会いして、監督の身体の大きさにも驚かされたが、それ以上の器の大きさにいたく感銘を受けた。


ちなみに、伊藤監督からの子供達へのお言葉は、まず、「楽しむこと」との一言から始まった。

先日、「最近、楽しむという言葉に違和感を感じる」とコメントしたばかりだったので内心ドキッとしたが、その後に「楽しむためには責任がある」とお話しが続き、ほっと胸をなでおろした。

自分の行動に責任を持つこと。コートに立つのは5人だが、その5人はチームを代表して戦う責任と誇りを持ち、勇気を持ってプレーすること。

さらに、小学生の頃からフットサルができる環境を幸せに思う。

今こうしてボールを蹴っていることで、将来色々な縁がある等、どれも心に響くお言葉ばかりだった。

同じようなことを、自分も日頃から言っているつもりだけど、口下手の上に決断力もなく、なかなか子供達にうまく伝えることができない。明快に、自分の言葉として力強く話す伊藤監督の姿に、指導者とはこうあるべきとの思いを強くした。

きっと、自分の考えをまとめ、聞く者に上手く伝えることができる方は、指導においても自分の思いを的確に選手に伝え、自分の抱いているイメージを具現化してチームを作り上げることができるのだろう。

Fリーグの監督とは、こういう方がなるのだと確信した。

子供達以上に、伊藤監督のお言葉を自分達に向けてのメッセージとして重く受け止めさせていただいた。

 

 

そして、昨日は県立総合体育館で行われたバサジィ大分対デウソン神戸戦を選手・保護者とともに観戦させていただいた。

勝てば順位が上がるというシチュエーションの影響か、いつも以上に慎重に試合に入ったように見えた立ち上がり、神戸に1点を先行されるものの、前半のうちに同点に追い付くと、後半は動きの量や内容でも相手を完全に上回り、立て続けに2点を奪って逆転に成功。パワープレーも難なくしのぎ、結果的には3-1の完勝となった。

伊藤監督の言葉通り、チームの代表として責任感を持ってコートに立った選手たちが、悲願のリーグ制覇を願うサポーターの思いを正面から受け止め、自信と勇気を持ってプレーする姿を存分に見せていただくことができた。

 

 

 最近、子供達に「将来の夢は?」と聞くと、当たり前のように「バサジィ大分の選手になることです」という返事が返ってくるようになってきた。

伊藤監督からは、小学生の頃からフットサルができて幸せだと言っていただいたが、小学生にフットサルを指導している立場の者から言わせていただければ、その国のトップリーグの試合を身近に観戦できることほど子供達にとって幸せな環境はないと思う。 


フットサルの指導を始めた頃は、自分達も本物のフットサルというものを見たことがなくて、本やビデオで勉強しながら、文字通り手探り状態からのスタートだった。

その当時、フットサルの試合に出てくるのはサッカーのチームばかりで、このままサッカー経験のない人間が指導をしていても到底張り合うことができないと思い、自分達でもチームを作り、実際にフットサルをプレーして必死に勉強しながら指導に取り組んできた。

しばらくして、何とか見た目だけはフットサルのチームを作ることができるようになったけど、それでも自分達の持っているイメージ以上のチームを作ることはできない。そんな壁を感じつつあった頃、Fリーグが誕生した。大分からはバサジィがFリーグに参戦し、おかげで日常的に日本最高峰のプレーを観戦する機会が増え、そこからようやくフットサルらしい指導ができるようになってきたと思ったら、またまた新たな壁にぶつかった。

 

本物のプレーを見て、それを子供の指導の参考にすることはできるようになったけど、今度はそれを子供達にうまく伝えることができない。身振り手振りでやって見せても、自分たちの拙い指導では、実際にフットサルを見たことがない子供達に自分の描くプレーのイメージを伝えることができない。

結局、最終的には、「とにかくサッカーやフットサルを見ろ」というところから始めざるを得なくなってしまう。

 最近はコーチや卒業生も増え、ようやく子供達にフットサルらしい動きを見せてやることができつつあるけど、できればやはり本物の動きを見せてやりたい。

 

そう思っていた頃、こうして国内トップリーグであるFリーグの、さらにその中で優勝を争うようなチームの監督とつながりを持つことが叶い、なおかつ監督から直々に試合に招待していただくこともできた。

 

きっと、今までFリーグの試合を見たことがある子供達も、今まで以上に真剣にフットサルを見て、今まで以上に身近にフットサルを感じたことだろう。

実際、昨日観戦したお宅の保護者から「子供が、監督の言っていた動きをバサジィの選手がしていたと言っていました」との感想も聞くことができた。もちろん本当は、バサジィの選手の動きを自分達が取り入れている訳だけど、それで良いと思う。

 

現在、うちのチームがサッカーの強豪チームやフットサル専門チームを相手に何とか試合ができているのも、ひとえにFリーグの誕生とバサジィ大分のおかげであると言っても過言ではない。

伝え聞いたところによると、今回の訪問は、縁あって大分の地にやって来た伊藤監督の、同じフットサルというスポーツに真剣に取り組んでいる子供達を激励したい、との思いから実現したと伺っているが、訪問先としてうちのチームを選んでいただいた理由はフットサル委員会の関係者からの紹介だとお聞きしている。


思うように行かないことばかりでも、壁にぶつかっても、あきらめずに辛抱強く続けていれば、きっと見てくれている人がいる。

 

伊藤監督のおっしゃられた「縁」とは、こういうことなのかもしれない。

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コメント: 4
  • #1

    GKの母 (火曜日, 18 11月 2014 11:52)

    日曜日はお疲れ様でした。
    選手・コーチ・保護者と総勢40名弱を率いての観戦、子供たちの送迎やお世話等、本当に大変だったと思います。

    今回の話を最初に聞いたとき、バサジィのチーム側から県内のフットサルチームを何チームか招待するという形で、院内が選ばれたのかなー?と思っていました。そう考えただけでも本当にうれしく、幸せなことだなーと感じていたのですが、伊藤監督個人から、それも監督自らがチケットを渡しに来てくれると聞き、数日間息子たちと興奮状態でなかなか寝付けませんでした(^_^;)
    実際いつも練習しているドームに伊藤監督に来ていただき、チームに向けてかけていただいた言葉は子供たちにもわかりやすく、温かく、心に響きました☆
    今まで行ける限りホーム戦を観戦に行き、応援してきた我が家にとって本当に夢のような時間でした。
    これもすべて、監督・コーチがいままで真剣に、信念をもち、諦めることなく続けてきた成果だと思います。
    本当にありがとうございます!

    観戦中の子供たち、本当に楽しそうに集中してプロの選手のプレーに見入ってましたね!ぜひまた観戦の機会をつくりましょう☆

    子供たちの「フットサルが好き!」「フットサルが上手くなりたい!」「たくさん試合に出たい!!」まずはこの気持ちを大事にしながら、家でも練習を続けながら、これからも頑張っていこうと思います。

  • #2

    いち保護者 (火曜日, 18 11月 2014 12:09)

    「ボールがつなぐ縁」
    と聞いて、まるでホームに載っている円の写真が思いつきました。
    この写真を見ながら、
    「ボールがつなぐ縁」=「人がつなぐ円」と勝手に解釈しています。
    バサジィ観戦、お世話になりました。

  • #3

    藤原 (木曜日, 20 11月 2014 23:15)

    GKの母さん

    お疲れ様でした。
    もちろん、今回の訪問が実現したのは、GKの母さんとお子さんたちの熱意が届いたからだと思っています。
    また、寄せ書きや応援プレートの作成など、私たちが行き届かないところまで気を配っていただき、本当に感謝しています。
    おかげで伊藤監督にもたいへん喜んでいただくことができました。

    個人差はありましたが、バサジィの試合を観戦する子供たちの真剣な表情がとても印象的でした。今回の観戦が、きっと彼らの今後の成長につながってくれるものと確信しています。

    今後ともご協力をお願いします!

    まだまだ嬉しいサプライズがあるかもしれませんよ★

  • #4

    藤原 (金曜日, 21 11月 2014 00:07)

    いち保護者さん

    縁=円。そんな見方もあるんですね。
    そこまで深く考えていませんでした^^;

    あの写真は去年のバーモントカップ予選最終戦の試合前の円陣です。

    それまでは試合に先発する5人だけで円陣を組んでいたのですが、勝たなければ予選突破できないという状況の中、自然とベンチ入りメンバー全員で肩を組んでいました。
    おかげで何とかその試合に勝つことができ、決勝トーナメントに進出することができました。子供達の写った写真は何千枚とありますが、自分にとっては最も思い入れのある一枚です。

    早いもので、あれから一年が経とうとしています。
    一年かけて築いてきた縁を力に変え、最大の目標としている大会で子供達の持っているものを出しきってもらいたいと祈るばかりです。

    どうぞ応援をよろしくお願いします。