東京のど真ん中で

去る12月6日、東京で行われた教え子の結婚式に河野コーチと参列した。

結婚式の会場は六本木にある東京ミッドタウン内のホテル「ザ・リッツ・カールトン東京」。さらに結婚式当日の宿泊先として新郎が用意してくれたホテルは港区白金台にある「シェラトン都ホテル東京」。自分のように東京に詳しくない人間でも、結婚式の会場も宿泊先のホテルも、どちらも名前くらいは聞いたことがある超高級ホテルである。

若い頃にホテルマンに憧れていた時期もある自分としては、東京の超一流ホテルでの宿泊も楽しみにしつつ、結婚式当日を迎えた。

 

まず、宿泊先のホテルの前でバスを降り(目黒駅からホテル直通の無料送迎バスが出ていた)、外国人観光客で溢れるホテルのロビーに入った頃はまだ「すげえ豪華なホテルやなあ」とか「〇〇(新郎)無理せんで良かったんに」などと軽口を叩く余裕があった自分と河野コーチだったが、フロントでチェックインを済ませ、「お部屋は〇〇様から最上階のデラックスツインを用意させていただいております。」と言われて案内された部屋にまたびっくり。豪華な室内はもちろん、最上階の部屋の窓から見下ろす東京の景色に圧倒され、次第に冗談を言えるような雰囲気ではなくなっていった。正直、東京のど真ん中に、こんなに静かで緑も多いホテルがあったことに驚いたし、招待されたとはいえ、自分達ごときにこんな高級なホテルを用意してくれた新郎に急に申し訳なくなってきた。

 

二人して無言で着替えを終え、休憩もそこそこに地下鉄で六本木のリッツ・カールトンに移動し、まずは結婚式に参列。窓から都心の高層ビル街が望めるチャペルでの感動的な挙式を見届け、いよいよ披露宴へ。

ちなみに披露宴では新郎の恩師として祝辞をお願いされており、もの凄く緊張したものの、この日のために河野コーチと作ったDVDが大好評で、スピーチを終えてテーブルに戻っても鳴り止まないほどの拍手を浴びることができた。

大役を終え、ようやくリラックスして周囲の人と話す余裕ができたので、隣り合わせた新郎の高校時代の恩師の先生も同じホテルに宿泊していると聞き、新郎の気配りへの感謝やホテルの豪華さを語り合ったりしていると、同じテーブルに座っていた新郎の小中高の同級生達が、彼らが泊まるホテルは都ホテルではないことや、汐留にあるそのホテルの部屋からはスカイツリーが見えたなどと話していた。同じ院内出身という気安さから、「スカイツリーじゃなくて東京タワーの間違いじゃいないのか」などと冷やかしてみたものの、内心(さすがに恩師として招待された自分達と同級生とでは、ホテルに差をつけたのかな…)と思いつつ、自分達のホテルがあまりにも豪華なため、そこまで差をつけなくても良かったのに、とか同じホテルにした方が楽だったんじゃないかな…といった何かすっきりしない気持ちを感じながらも、披露宴は和やかに進んで行った。

そしていよいよエンディングへ。新婦の手紙に涙をこらえる河野コーチ。さらに「地方出身の二人が東京で頑張ってこれたのも小さい頃からお世話になった皆さんのおかげです。」と力強く語った新郎の挨拶が終わる頃には自分の頬にも涙が伝っていた。

県外での結婚式も、恩師として招待されたのも初めての経験だったけど、フットサル教室の1期生にあたる新郎の気配りのおかげで何不自由なく結婚式を迎えることができた。披露宴での祝辞も、出番の直前まで「諸先輩方を差し置いて自分なんかで良いのだろうか」と、深く考えずに引き受けた自分の浅はかさを後悔していたけど、それでもやっぱりやって良かったと心から思えた。

そんな感動的な披露宴もお開きとなり、帰り支度を始めているところに、司会者の方から「皆様本日は誠にありがとうございました。どうぞお気をつけてお帰り下さい。なお、ここ東京ミッドタウンは芝生広場での豪華なクリスマスイルミネーションが有名です。皆様に、このイルミネーションを楽しんでいただきたいと、新郎新婦がわざわざこの時期の披露宴を計画してくれました。お帰りの際には是非そのイルミネーションをご覧になっていただきたいと思います。」とのアナウンスが聞こえた。

退席する人や、2次会の打ち合わせなどでざわめく会場で思わず聞き逃してしまいそうな一言ではあったけど、この言葉を聞いて、はっと思い当たることがあった。

 

振り返ることちょうど1年前。去年の年末のOB会の席で、教え子から来年結婚式を挙げることと、12月6日に東京ミッドタウンにあるホテルの式場を仮予約していることを聞かされ、自分も河野コーチも「まだ1年も先の話なのに大変やなあ」と呑気に考えていたけど、この時になって、東京でも一・二を争うほどの人気ホテルの結婚式場の、さらにクリスマスシーズンの土曜日の夜の披露宴を押さえることがどれだけ大変だったのか、ようやく気づくことができた。

さらに、式場の予約だけでなく、遠方からの招待客のホテルの手配に関しても、恩師枠の自分達にはできるだけ静かな場所で寛いでもらうために閑静な高級ホテルの最上階の部屋を、そして同年代の友人たちにはできるだけ式場から近く、かつ賑やかで雰囲気の良い場所を、との思いから最終的に汐留という場所を選んだに違いない。偶然見えたと喜んでいたスカイツリーも、たまたまではなく、おそらく窓からスカイツリーが見えるホテルを探し、その部屋を用意してもらったのではないだろうか。

披露宴の最後になって、ようやく今回の結婚式のすべてが、遠くから自分達の結婚式のために来てくれるお客さんに対し、せめてものお礼にできるだけ東京を楽しんでもらいたいとの新郎新婦の配慮が込められていたのだと気づくことができた。そして改めて、こんな時でもなければ泊まることもないような高級ホテルの最上階の部屋を用意してくれた教え子の心意気に感激した。

 

本当は、披露宴が終わったら、河野コーチと新郎の弟でもある拓郎コーチの3人で六本木で飲み直す予定だったけど、新郎新婦の心づかいに敬意を表し、ミッドタウンのイルミネーションと高級ホテルの雰囲気を時間が許す限り充分堪能させてもらうとともに、宿泊先のホテルに戻ってからも外出することなく、最上階の豪華な部屋で今回の結婚式の素晴らしさと新郎との思い出を夜が更けるまで3人で語り明かした。

 

「東京での大学時代や、社会人になってからも、サッカーのおかげで色々な人とつながりをもつことができ、本当にサッカーに助けられた。そんな自分の原点は小学生の頃のフットサルにある」と言って、1年しか在籍していないフットサル教室と自分達のことを忘れずずっと慕い続けてくれる教え子を持つことができ、心からフットサルの指導を続けていて良かったと思った。

なかなかチームが強くならなくても、フットサルを上手くしてあげられなくても、それだけが指導者の役目じゃない。もっと大事なことを教えてあげられるんじゃないかということを、教え子から教えてもらうことができた。

恩師として招待された結婚式だったけど、結果的には東京のど真ん中で頑張る教え子の成長と心づかいをまざまざと感じさせられた結婚式だった。

 

若い二人の新たな門出の場に立ち会えたことを嬉しく思うとともに、二人の今後の幸せを心からお祈りします。

 

**************

 

年末ということもあり、東京から帰ってきてから何かと忙しく、日記に書く機会を逃してしまい当日の様子を書かないままでしたが、先日のOBによる蹴り納め&忘年会の席でも結婚式の様子を知りたいという声が多かったので、遅ればせながら紹介させていただきました。自分の拙い文章で、どれだけこの日の感動と教え子の心づかいが伝わったかは疑問ですが、教え子のおかげで指導を始めた頃の初心に立ち返ることができました。

今回も長い日記になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。今年も多くの人と出会い、いろんなことを感じさせられた一年でした。

今年一年、お世話になった皆様に感謝を申し上げ、年末のご挨拶に代えさせていただきます。それでは皆様よいお年を。

院内フットサル教室

 

住所

〒872-0333

大分県宇佐市院内町原口146-1 平成の森公園内

農村交流センター事務室

 

メールアドレス

innaifc1998@gmail.com