閉塞感

2018年ロシアW杯出場を目指すサッカーのアジア最終予選が始まりました。

 

先週行われたUAE戦を落とし、黒星発進となった日本代表ですが、アウェーで迎えた第2戦はタイに勝利し1勝1敗。UAE戦に比べサイドも使えていましたし、チャンスも多く作っていましたが、これが2戦目を迎えてコンディションも上がり、元々持っていたチーム力が発揮されてきたものなのか、それとも単にタイとのチーム力の差なのか、理解に苦しむところです。

 

ただ、これだけは強く感じます。

 

最近の日本代表の試合、見ていてあんまり楽しくない。

 

いや、サッカーは好きだし個人的には本大会よりも気になる最終予選だし、楽しくないというと嘘になります。楽しくないというか、ワクワクしないというか…

何ていうか、ザッケローニ監督時代から、やっているサッカーがほとんど変わっていない気がするのですが、気のせいでしょうか?

 

縦に速くとか、インテンシティを上げるとか、デュエルだとか、監督が代わる度に耳触りの良い言葉は聞こえてきますが、肝心の試合内容の方はどうなんでしょうか。

よく、日本代表の持ち味はコンビネーションと細かいパスワークでの崩しと言われていますが、DFがどっしり待ち構える前でちょこちょこ回しても、簡単に崩せるものではないはずです。

監督が代わり、やっているサッカーも変わっているのだと思いますが、正直、以前に比べて縦に速くなったのか、球際が強くなったのか、素人目にはわかりません。そもそも選手がほとんど変わっていませんし…本当に監督が目指しているサッカーなのか、メディア受けするキーワードだけが一人歩きしているんじゃないかと思ってみたり…。

 

 

さて、今さらですが、盛り上がりましたね、リオデジャネイロオリンピック。

オリンピックが終了してからずいぶん期間が空きましたが、最近、帰国したメダリスト達がバラエティ番組にちょいちょい出演しているせいか、改めて当時の感動が甦ってきています。

 

オリンピックというと、普段はほとんど目にすることがない競技に見入ってしまうから不思議です。今回も、柔道、水泳に始まり、体操、レスリング、バドミントンなど、いつもならテレビ中継されていてもまず見ない競技を夢中で応援しました。

時間帯の関係で、だいたい夜中から予選が始まって、勝ち上がって行く肝心なところは寝過ごし、目が覚めて結果を知る…という残念なケースがほとんどでしたが、それでも体操男子個人総合の内村航平選手が最終種目の鉄棒で逆転の金メダルを獲得した場面、レスリングの吉田沙保里選手が決勝で敗れ、マットに突っ伏して号泣した場面などをリアルタイムでテレビ観戦することができました。

吉田選手が決勝で敗れ、インタビューで「ごめんなさい」を繰り返すシーンは今見てももらい泣きしそうになりますが、個人的に強く印象に残っているのは今大会で大躍進したバドミントン勢です。

中でも、シングルスの奥原選手が準決勝に勝ち進み、勝てばシングルスで日本人初のメダル獲得となる大事な一戦で、ランキングでは格下のインドの選手に敗れ、メダル獲得は3位決定戦に持ち越しとなりますが、同じ日に続いて登場したダブルスの高橋・松友ペアが最終セットまでもつれ込む熱戦を逆転勝ちで制し、バドミントン界悲願の金メダルを獲得し仇をとるという、ドラマのような格好良さにテレビの前で興奮しました。

バドミントンといえばダブルスの印象が強かったせいか(実際、これまでほとんどダブルスの試合しか見たことがなく)、体格で劣る外国人選手相手に一人で堂々と立ち向かう奥原選手の姿が新鮮に見えたのも事実ですが、痛々しいほどのテーピングを巻いた右足を踏ん張りながら、歯を食いしばってシャトルを拾う姿に胸を打たれました。

 

本当に、普段はまず見ない競技でも夢中になれるのがオリンピックの良いところですね。開幕前はそれほど気に留めていませんでしたが、いざ始まってしまうと日本選手の活躍にくぎ付けになってしまいました。

 

皆さんの思い出に残ったシーンや選手は誰でしょうか?

 

ちなみにサッカーはというと、ご存じのとおり予選リーグで1勝1分け1敗となり決勝トーナメントに進むことはできず。残念ながらオリンピックで話題をさらうことはできませんでした。

初戦の相手が3位入賞したナイジェリアということもあり、対戦順が悪かったとも言えますが、やはり3試合しかないグループリーグの初戦を落とすと予選突破が苦しくなるということは間違いありません。

まあ、基本的にU-23のメンバーで予選を戦い、本大会には予選に出場していないオーバーエージの選手が3人加われるというレギュレーションもどうなの?という感じですが、オリンピックはもともとアマチュアスポーツの祭典とも言われていましたし、オリンピックの中のサッカーの位置付け、サッカー界におけるオリンピックの位置付けも正直微妙です。まあ、サッカーが早々に敗退したおかげで普段は目にすることのない競技をじっくり見ることができたのは事実ですが。

 

なお、今回のリオオリンピックで日本は金・銀・銅合わせて41個のメダルを獲得していますが、このうち柔道、レスリング、バドミントンの3種目で半分以上を獲得しています。

前回のロンドンで惨敗した柔道勢は、その後パワハラ問題等も噴出し強化体制を刷新。これが良かったのか、特に男子は井上康生監督の下で選考された選手が全員メダルを獲得するという快挙を達成しました。

また、女子レスリングに関しては、選手全員が代表チームのヘッドコーチを務める栄監督の指導する至学館大学の教え子・関係者ですし、大躍進を遂げたバドミントンも韓国から招聘した朴コーチの存在が大きかったと言われています。

 

改めて思ったのは、指導者の存在。前述した競技だけでなく、井村ヘッドコーチが復帰したシンクロなどは、その典型ではないでしょうか。

もちろん、監督の力だけで強くなるとは思っていません。代表チームの場合、監督はあくまで日本代表チームの監督であり、選手自身は普段は所属するクラブ等で指導を受けているはずです。代表選手に選ばれたから強くなるというものでもなく、日々の練習の積み重ねやジュニア時代からの指導者の存在も大事です。

裾野を広げ、選手を発掘し、選手だけでなく指導者も育て、有力な選手を選抜してさらに強化する…競技全体で同じ方向を向き、いかに全体のレベルを引き上げて行くか。

ジュニアから成人まで、全ての年代をカバーした強化の方向性、舵取りが大事となってきますし、人材豊富な柔道のように、「どの選手を代表に選ぶか」という観点でも協会の力・方向性が大事になってきます。 

そういえば、オリンピック終了後にバドミントン協会のお偉いさんが「オグシオ人気で全国的にバドミントン選手が増え、協会の登録者数がそれまでの倍近くになった。登録者数が増えるということは、協会費が増えるとということで、増えた資金をジュニアの強化につぎ込んだ結果がようやく現れた。」といった内容のことを言っていました。

まあ、これが一番の強化方法なのかもしれませんが、とにかく代表監督を選ぶのも協会関係者ですので、結局は、所属する協会、並びにその強化担当者の眼力が求められているということだと思います。 

 

 

A代表の低調な戦いぶり、オリンピック出場権を逃した女子代表、そしてフットサル…

 

何となく盛り上がりに欠ける感が否めないサッカー界。

 

他の競技に比べ、格段に裾野も広いし、体制も整っているはずですが、世界大会の出場権を獲得し続けている男子サッカーでさえも、アンダー世代はアジア予選を突破できなくなってきています。

 

裾野を広げ、体制を整え、そして肝心の強化は進まず… 

最近のフットボール界を取り巻く閉塞感に漠然とした不安を感じているのは、自分だけでしょうか。。。